AWS WAF v2 のアクションを検知(Count)からブロック(Block)へ移行する

概要

やりたいこと

AWS WAF を検知モード (Allow/Count) からブロックモード(Block)にしたい。

AWS Managed Rules for AWS WAF より、ルール運用のベストプラクティスは、最初にカウント(検知)モードで動かし傾向をみて、少しずつブロックモードに移行していくこと。

検知モードからブロックモードへ移行する手順を整理する。

AWS WAF の処理方法

まずは以下のドキュメントを読んで、 AWS WAF の動作を理解する。

終了アクションと非終了アクションがある。

  • 終了アクション : Allow, Block、一致するウェブリクエストに対する全ての処理は停止される
  • 非終了アクション : Count、ルールがリクエストと一致すると、AWS WAF はリクエストをカウントし、ウェブ ACL ルールセットに続くルールの処理を継続

AWS WAF の Action

アクション自体が 3 種類ある。優先度は OverrideAction >= RuleAction > DefaultAction。

  • DefaultAction : どのルールにも一致しない場合のデフォルトアクション
  • RuleAction : ルールに一致したときに実行されるアクション
  • OverrideAction : RuleGroup, ManagedRule のアクション

RuleAction と OverrideAction の説明は以下のドキュメントが詳しい。

Default Action

ウェブリクエストがどのルールにも一致しない場合に実行するアクション。

Default Action は 2 つ。WAF を適用するサービスが、一部をブロックする運用なら Allow、一部を許可する運用なら Block を選んでおく。

  • Allow : リクエストを許可する
  • Block : リクエストをブロックする

RuleAction

単一のルールにリクエストが引っかかったときに実施されるアクション。

RuleAction は 3 つ。Allow だとログが記録されない。

  • Allow : リクエストを許可する
  • Block : リクエストをブロックする
  • Count : ログを出力する、リクエストの許可もブロックもしない

OverrideAction

Rule Group や Managed Rules を利用している場合のアクションを設定する。

Managed Rules はデフォルトアクションがブロックモードとなる。そのため、ブロックしたくない場合は OverrideAction で Count を指定する必要がある。

OverrideAction は 2 種類。

  • None : 上書きなしのため、そのままブロック
  • Count : 検知した場合にブロックしないで、ログのみ出力

補足 : ExcludedRules

Managed Rules の一部のルールだけをカウントモードに上書きするには ExcludedRules を指定する。

CloudFormation で設定する場合、除外するルール名を指定する必要がある。
ルール名は WAF コンソールから見ることができる。

CloudFormation でデプロイ

AWSManagedRulesCommonRuleSet で実験する。

カウント(検知)モード

Managed Rule はデフォルトでブロックアクションとなるため、OverrideAction で Count を指定する。

  • DefaultAction を Allow
  • OverrideAction を Count
 WebACL:
    Type: AWS::WAFv2::WebACL
    Properties:
      Name: !Sub ${WebACLName}
      Scope: REGIONAL
      Description: This is an example WebACL
      DefaultAction:
        Allow: {} # Allow or Block
      VisibilityConfig:
        SampledRequestsEnabled: true
        CloudWatchMetricsEnabled: true
        MetricName: !Sub ${WebACLName}
      Rules:
        - Name: AWSManagedRulesCommonRuleSet
          Priority: 0
          OverrideAction:
            Count: {} # None or Count
          VisibilityConfig:
            SampledRequestsEnabled: true
            CloudWatchMetricsEnabled: true
            MetricName: AWSManagedRulesCommonRuleSetMetric
          Statement:
            ManagedRuleGroupStatement:
              VendorName: AWS
              Name: AWSManagedRulesCommonRuleSet
              ExcludedRules: []

結果。Action の Enable count mode がオンになっている。

サンプルリクエストを投げて、アクセスできることを確認。

2行目のログが該当のもの。ルールの項目は「-」となり、Count したログとして出力される。
何のルールで検知されたかわからない。。

ブロックモード

Managed Rule はデフォルトでブロックアクションとなるため、OverrideAction ではなにもしない None を指定する。

  • DefaultAction を Allow
  • OverrideAction を None
  WebACL:
    Type: AWS::WAFv2::WebACL
    Properties:
      Name: !Sub ${WebACLName}
      Scope: REGIONAL
      Description: This is an example WebACL
      DefaultAction:
        Allow: {} # Allow or Block
      VisibilityConfig:
        SampledRequestsEnabled: true
        CloudWatchMetricsEnabled: true
        MetricName: !Sub ${WebACLName}
      Rules:
        - Name: AWSManagedRulesCommonRuleSet
          Priority: 0
          OverrideAction:
            None: {} # None or Count
          VisibilityConfig:
            SampledRequestsEnabled: true
            CloudWatchMetricsEnabled: true
            MetricName: AWSManagedRulesCommonRuleSetMetric
          Statement:
            ManagedRuleGroupStatement:
              VendorName: AWS
              Name: AWSManagedRulesCommonRuleSet
              ExcludedRules: []

結果。Action の Enable count mode がオフになっている。

サンプルリクエストを投げると 403 が返却され、アクセスできないことを確認。

「AWS#AWSManagedRulesCommonRuleSet#NoUserAgent_HEADER」ルールにマッチし、Block したログとして出力される。

AWS Managed Rule の一部ルールだけカウント(検知)モード

AWSManagedRulesCommonRuleSet は複数のルールの集合体である。そのうちの一つの NoUserAgent_HEADER ルールだけアクションを変更する。

  • DefaultAction を Allow
  • OverrideAction を None
  • ExcludedRules に NoUserAgent_HEADER
WebACL:
    Type: AWS::WAFv2::WebACL
    Properties:
      Name: !Sub ${WebACLName}
      Scope: REGIONAL
      Description: This is an example WebACL
      DefaultAction:
        Allow: {} # Allow or Block
      VisibilityConfig:
        SampledRequestsEnabled: false
        CloudWatchMetricsEnabled: true
        MetricName: !Sub ${WebACLName}
      Rules:
        - Name: AWSManagedRulesCommonRuleSet
          Priority: 0
          OverrideAction:
            None: {} # None or Count
          VisibilityConfig:
            SampledRequestsEnabled: true
            CloudWatchMetricsEnabled: true
            MetricName: AWSManagedRulesCommonRuleSetMetric
          Statement:
            ManagedRuleGroupStatement:
              VendorName: AWS
              Name: AWSManagedRulesCommonRuleSet
              ExcludedRules: [NoUserAgent_HEADER]

結果。NoUserAgent_HEADER のみ Override rules action が有効になっている。全体としてはブロックモードで動いている。

サンプルリクエストを投げると、アクセスできることを確認。

ログは出てない。Default Action の Allow として許可され、SampledRequestsEnabled が false のため。

参考

マネージドルールCommonRuleSetによるブロックと例外登録を行う

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